離婚の際に元夫との間で決めた養育費が支払われなくなって数年経つけど、いつまで請求することができるの? 養育費が支払われなくなったのだけど、どうすればいいの?
養育費が未払いになってしまったとき、いつまで請求することが可能なのか不安に思われるのではないでしょうか?
養育費の請求権は、定期金債権です。取り決めをしている場合、過去の養育費を請求することができますが、時効が成立すると養育費請求権は消滅します。しかしケースによって未払いの養育費の時効の期間は変わります。
この記事では養育費の時効について詳しく解説していきます。
養育費が未払いになってしまったとき、いつまで請求することが可能なのか不安に思われるのではないでしょうか?
養育費の請求権は、定期金債権です。取り決めをしている場合、過去の養育費を請求することができますが、時効が成立すると養育費請求権は消滅します。しかしケースによって未払いの養育費の時効の期間は変わります。
この記事では養育費の時効について詳しく解説していきます。
目次
養育費にも時効は存在するの? ― 養育費請求権は定期金債権
養育費にも時効は存在します。
まず養育費についてご説明します。
養育費請求権は定期金債権です。毎月いくら支払うという取り決めがある場合、毎月の養育費は個々に債権として発生しており、それぞれが定期給付債権となります。請求権は権利を持つ人が行使することができ、請求された債務者が支払いに応じない場合に、差し押さえなどの法的手段を用いることができます。
しかし養育費請求権も債権なので、消滅時効が存在します。
令和2年4月1日の民法の改正で、時効の期間が変更されましたので、次のトピックで併せて詳しくご紹介します。
まず養育費についてご説明します。
養育費請求権は定期金債権です。毎月いくら支払うという取り決めがある場合、毎月の養育費は個々に債権として発生しており、それぞれが定期給付債権となります。請求権は権利を持つ人が行使することができ、請求された債務者が支払いに応じない場合に、差し押さえなどの法的手段を用いることができます。
しかし養育費請求権も債権なので、消滅時効が存在します。
令和2年4月1日の民法の改正で、時効の期間が変更されましたので、次のトピックで併せて詳しくご紹介します。
【原則】 養育費の時効期間は5年 ― 民法改正の影響は?
民法改正前は、定期給付債権の規定である民法169条が適用されていましたが、こちらの条文が削除され、改正後は民法166条が適用されることになりました。
結論としては、令和2年4月1日の民法改正で、消滅時効は、請求権が発生してから5年だったのが、請求できることを知った時から5年、または行使できる時から10年に変更されました。
養育費に関しては請求できることを知った時と請求権発生日が同一であることが通常ですので、養育費請求権は発生してから5年で時効になるのが原則です。これらは、改正前より定期給付債権は5年で時効によって消滅するとされていたので、改正前後で養育費の消滅時効期間に実質的には変更はありません。
[改正前民法]
[改正後民法]
結論としては、令和2年4月1日の民法改正で、消滅時効は、請求権が発生してから5年だったのが、請求できることを知った時から5年、または行使できる時から10年に変更されました。
養育費に関しては請求できることを知った時と請求権発生日が同一であることが通常ですので、養育費請求権は発生してから5年で時効になるのが原則です。これらは、改正前より定期給付債権は5年で時効によって消滅するとされていたので、改正前後で養育費の消滅時効期間に実質的には変更はありません。
[改正前民法]
定期給付債権の短期消滅時効
第169条
年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権は、五年間行使しないときは、消滅する。
[改正後民法]
債権等の消滅時効
第166条
① 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
【例外】 調停や審判などの手続きで決められた未払分の養育費の時効は10年
養育費の消滅時効の原則は5年ですが、例外があります。
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した場合、10年より短い時効期間を定めたとしても、時効期間は10年になります(民法169条1項)。
つまり、調停・審判などによって過去の未払い分について確定的に取り決めた場合は、時効は10年になります。ただし、「確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。」とされています(民法169条2項)。
そのため、いまだに発生していない将来分の養育費については調停調書などに記載したとしても消滅時効期間は5年のままです。
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した場合、10年より短い時効期間を定めたとしても、時効期間は10年になります(民法169条1項)。
つまり、調停・審判などによって過去の未払い分について確定的に取り決めた場合は、時効は10年になります。ただし、「確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。」とされています(民法169条2項)。
そのため、いまだに発生していない将来分の養育費については調停調書などに記載したとしても消滅時効期間は5年のままです。
判決で確定した権利の消滅時効
第169条
① 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。
② 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
時効が進むのは止められないの? ― 時効の進行は止めることができる
時効は進行を止められる場合があります。
令和2年4月1日の民法改正によって、消滅時効に関連する語句について改められました。
旧民法の「中断」と「停止」が、「更新」と「完成猶予」に文言が変わりました。「更新」「完成猶予」はそれぞれ、以下の意味になります。
支払われていない養育費が消滅時効を迎える前に時効の更新や完成猶予をすることができれば、養育費請求権は消滅しません。時効の更新ができれば、5年または10年の時効がまた新たに更新されたタイミングからスタートすることになります。
それでは時効の更新や完成猶予をするにはどうすれば良いのでしょうか?
令和2年4月1日の民法改正によって、消滅時効に関連する語句について改められました。
旧民法の「中断」と「停止」が、「更新」と「完成猶予」に文言が変わりました。「更新」「完成猶予」はそれぞれ、以下の意味になります。
更新 | 更新事由が生じたときに、新たに時効期間が進行を開始すること。 |
---|---|
完成猶予 | その間は、時効が完成しないこと。 |
支払われていない養育費が消滅時効を迎える前に時効の更新や完成猶予をすることができれば、養育費請求権は消滅しません。時効の更新ができれば、5年または10年の時効がまた新たに更新されたタイミングからスタートすることになります。
それでは時効の更新や完成猶予をするにはどうすれば良いのでしょうか?
時効の更新や完成猶予をするにはどうすればいいの?
更新事由になるものの例
・裁判上の請求等(裁判上の請求、支払督促、調停等)が確定判決などにより権利が確定
・強制執行、担保権の実行等が終了
・債務(権利)の承認
完成猶予事由になるものの例と猶予期間
裁判上の請求等 (裁判上の請求・支払督促・調停等) | 事由の終了時まで |
---|---|
強制執行・担保権の実行等 | 事由の終了時まで |
仮差押え・仮処分 | 事由終了時から6ヶ月間 |
催告 | 催告時から6ヶ月間 |
協議を行う旨の合意 | 以下のうち、いずれか早い時まで ⅰ . 合意から1年 ⅱ . 合意で定めた協議期間の経過 ⅲ . 協議の続行拒絶通知から6か月 |
完成猶予ですと、例えば催告をした場合には催告時から6ヶ月間、時効の完成を止めることができます。
例えば、内容証明郵便を送って「催告」を行えば、時効が完成するまで6ヶ月の猶予を得ることができます。ただし完成猶予は時効の完成を延期させるだけなので、完成猶予の期間が終われば、進行が止まっていた時効が再スタートします。
時効をまた新しくスタートさせる時効更新をするためには、完成猶予事由ではなく、更新事由であることが必要です。また、強制執行などは、申立てを取り下げた場合などは更新事由に当たらないため、注意が必要です。支払いをする側が未払い分の養育費を支払うと約束した場合は債務の承認に当たりますので、時効は更新されます。なお、時効の中断・停止事由、更新・完成猶予事由についても、民法の改正以前と以降で適用が変わります。
協議を行う旨の合意とは? ― 協議を行う旨の合意は時効の完成猶予事由
また、改正民法では、協議を行う旨の合意により時効の完成が猶予されるという完成猶予事由が新たに設けられました。
例えば、養育費の未払いについてメールなどで支払いを催促し、「養育費の未払い分については協議したい」旨の返信がきた場合、養育費の未払い分についての時効は一旦進むのが止まります。ただし、協議を行う旨の合意が改正民法施行日(令和2年4月1日)後である必要があります。
養育費についての取り決め自体が民法改正以前であっても、協議を行う旨の同意が令和2年4月1日より後であれば、この制度は適用されます。
協議を行う旨の合意による時効の完成猶予
第151条
① 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。
一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から六箇月を経過した時
例えば、養育費の未払いについてメールなどで支払いを催促し、「養育費の未払い分については協議したい」旨の返信がきた場合、養育費の未払い分についての時効は一旦進むのが止まります。ただし、協議を行う旨の合意が改正民法施行日(令和2年4月1日)後である必要があります。
養育費についての取り決め自体が民法改正以前であっても、協議を行う旨の同意が令和2年4月1日より後であれば、この制度は適用されます。
まとめ
・養育費の請求権には時効がある
・時効は原則5年
・確定判決などで取り決めた未払分の養育費の時効は10年
・時効は時効の更新又は完成猶予を行うことで進行を止めることができる
・時効は原則5年
・確定判決などで取り決めた未払分の養育費の時効は10年
・時効は時効の更新又は完成猶予を行うことで進行を止めることができる
未払いの養育費について無料相談をお勧めします
養育費の未払い分の請求権が時効にかかっているかは、取り決め自体が民法の改正以前、以後なのか、時効の更新ができているかなど、専門家でないと判断が難しい部分があります。
時効を止めるにはいくつかの方法があり、ケースごとに最適な方法があります。
心配に思うこと、疑問点などがあれば、専門家に直接相談することが解決の近道です。
また、養育費には時効がありますので、もし不安がある場合は早めに動くことが肝要です。
法律の専門家である弁護士が無料相談を行なっていますので、ぜひ活用されることをおすすめします。
時効を止めるにはいくつかの方法があり、ケースごとに最適な方法があります。
心配に思うこと、疑問点などがあれば、専門家に直接相談することが解決の近道です。
また、養育費には時効がありますので、もし不安がある場合は早めに動くことが肝要です。
法律の専門家である弁護士が無料相談を行なっていますので、ぜひ活用されることをおすすめします。