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清算価値保障原則

個人再生の落とし穴、清算価値保障原則ってなに?
個人再生手続きは、現在ある債務者の財産を生かしつつ、原則3年間の長期にわたる分割弁済によって、残っている債務を消滅させる債務整理の方法です。再生計画を作成し、裁判所から認可の決定を受けて、債務の整理をします。

その再生計画ですが、「清算価値保障原則」が満たされていない場合、不認可事由に該当してしまい、再生計画が不認可となってしまいます。そうなると、個人再生が利用できません。この、とても重要な「清算価値保障原則」とは、一体どういうものなのでしょうか?

以下のトピックで詳しくご紹介いたします。

※個人再生については、「個人再生とは ― 自己破産との違いを詳しく解説!」で詳しくご紹介しています。

清算価値保障原則とは ― 個人再生計画が認可を受けるための重要な原則

「清算価値保障原則」とは、再生計画における弁済率が、破産における場合の配当率以上でならなければならないとする原則です。

この清算価値保障原則の意味は、破産手続きによって債権者が受ける弁済を、個人再生手続きでも保障するところにあります。民事再生法174条2項4号は「再生計画の決議が再生債権者の一般の利益に反するとき」を再生計画の不認可事由と規定しており、この法令が清算価値保障原則の根拠とされています。つまり、再生計画は清算価値保障原則を満たしていることが認可の条件であり、これは、最低弁済額要件が満たされている場合でも必要となります。

清算価値保障原則がある理由 ― 清算価値保障原則は何のためにあるの?

再生計画が認可を受けるためには、最低弁済額要件を満たしている必要があります。清算価値保障原則は、その最低弁済額要件を満たした上で、更に満たさなくてはならないものになります。

最低弁済額とは、再生計画の中で定める、弁済すべき最低限の額のことをいい、金額は事案に応じて異なります。また同じ事案であっても、小規模個人再生と給与所得者等再生とで最低弁済額が変わることもあります。

では、この最低弁済額要件が定められているにもかかわらず、清算価値保障原則が存在するのはどうしてなのでしょうか?

その答えは、「債権者の利益を守るため」です。
個人再生手続きは、債務者の財産を自己破産手続のようには処分せず、分割弁済をしていく手続です。前述の最低弁済額要件だけですと、再生債務者が現に手元に持っている財産は考慮されないことになってしまいます。これでは、自己破産手続をしてもらった方が、債権者はより多くの弁済を受け取れたという状況が出てきてしまうかもしれません。債権者にとっても個人再生手続きを受け入れるだけの利益、つまり自己破産手続をして弁済をしてもらう場合よりも、手元に返ってくる金額が多くなければ、債権者が害されることになってしまうといえるでしょう。

このような状況を避け、債権者の利益を守るため、再生計画においては、清算価値保障原則を満たしていることを明らかにする必要があります

最低弁済額要件 ― 最低弁済額はどのように算定されるの?

では、最低弁済額要件とは、具体的にどういったものなのでしょうか?
民事再生法231条「再生計画の認可又は不認可の決定」には、以下のように定められています。

1. 負債総額が5,000万円超の場合
この場合はそもそも個人再生を利用できません。

2. 負債総額が3,000万円超、5,000万円以下の場合
基準債権に対する、再生計画に基づく弁済総額は、負債総額の10%以上でなければなりません。基準債権とは、無異議債権および評価済債権のうち、別除権行使によって弁済を受けることができると見込まれている再生債権および民事再生法84条2項各号の請求権を除くものをいいます。

3. 負債総額が1,500万円超、3,000万円以下の場合
計画弁済総額は300万円以上でなければなりません。

4. 負債総額が500万円超、1,500万円以下の場合
計画弁済総額は、基準債権の総額の20%以上でなければなりません。

5. 負債総額が100万円以上、500万円以下の場合
計画弁済総額は、100万円以上でなければなりません。

6. 負債総額が100万円未満の場合
計画弁済総額は、基準債権の総額以上でなければなりません。

覚えられましたでしょうか?

清算価値 ― 清算価値はどのように算定されるの?

「清算価値保障原則」についてご紹介してきましたが、そもそも「清算価値」とは何をいうのでしょうか?
清算価値とは、仮に破産となった場合に、再生債権者に配当されるべき財産総額のことをいいます。

清算価値の算定をするためには、財産の価額を評定する必要があります。その評定は原則として、当該財産の(早期)処分価格で行います。また、自由財産に該当する財産は、清算価値に含めない運用が多く取られています。(自由財産については、「自由財産 ― 自己破産をしても残せる財産があるとご存知ですか?」で詳しくご紹介しています。)

どの時点の清算価値を基準とするかについてですが、原則は再生計画認可時とされています。東京地裁では清算価値算定をやりやすくするために、清算価値算出シートが用意されています。

まとめ ― 清算価値保障原則が満たされていないと個人再生はできない

これまでのトピックの内容をまとめます。

清算価値保障原則
・個人再生の再生計画における弁済率は、自己破産における場合の配当率以上でなければならない
・認可を得るために弁済すべき必要最低限の額である最低弁済額の要件を満たす場合でも、清算価値保障原則は満たされなくてはならない。
・最低弁済額は事案によって異なる。
・清算価値は再生計画認可時が基準時となる。
・債権者の利益を守るための原則である。
・この原則が満たされていないと再生計画は不認可になり、個人再生手続きが利用できない。

個人再生をした場合、ご自身ならどのような計画になるのか知りたくはありませんか?

個人再生手続きは、将来において継続的、反復的に収入を得る見込みのある方が、その収入により弁済することを前提とした債務整理の方法です。条件に該当する方であれば、個人再生手続きが利用できます。

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プロである弁護士に、ぜひ一度ご相談ください。

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