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養育費の請求を放置するデメリットとは?できるだけ早く請求すべき理由を解説!

支払われていない養育費の請求を放置したままではありませんか?
離婚時には色々とやることが多く、また子どもがいるとますます忙しいために、養育費について動き出すのが遅くなってしまうことがあるのではないでしょうか。
また、養育費の支払について取り決めをしても、義務者側からの支払が滞ることや、止まってしまうことも少なくありません。
しかし、養育費について取り決めを後回しにしたり、また支払われなくなった養育費について放置してしまったりすると、デメリットが多いです。養育費の請求はできるだけ早くすべきだといえるでしょう。

では具体的にどのようなデメリットが存在するのでしょうか?
また、なぜできるだけ早く、養育費は請求すべきなのでしょうか?
こちらの記事では養育費の請求を放置した場合のデメリットについて解説しています。

養育費の始期についてはこちらの記事で、また養育費の時効についてはこちらの記事で解説していますので、参考になさってください。
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そもそも養育費とは?

養育費とは、子を監護している親から、非監護親に対する未成熟子の養育に要する費用をいいます。
養育費には離婚後の子の養育費(民法766条1項)と、認知後の子の養育費(民法788条、766条1項)があります。

養育費の対象となる子は「未成熟子」、つまり経済的に自ら独立して自己の生活費を獲得すべき時期の前段階にあって、いまだ社会的に独立人として期待されていない年齢にある子となります。
婚姻外に出生した子についても、父が認知し、子と父に法的親子関係がある場合、親権者でなくとも生活保持義務を負います。

生活保持義務は、監護親が子に対し、自分と同程度の生活水準を保障する義務をいいます。

養育費の請求を放置するデメリット ― なぜできるだけ早急にすべきなのか?

養育費の請求を放置した場合、早めに請求していれば支払われたはずの養育費が支払われない可能性があります。
それではなぜそのようなことが起こってしまうのでしょうか?
その理由として、以下の2点が挙げられます。

・明確に取り決めを行っていない場合、請求時からの養育費のみ認められる可能性が高い
・取り決めを行っている場合でも、養育費には時効があるため、支払がされないまま時効を迎える可能性がある

養育費の取り決めを行なっていない場合、未払となっている養育費については、請求時より遡って請求することが難しいとされるのが一般的です。
また、放置する期間が長くなってしまうと、養育費請求権自体が消滅時効にかかってしまい、時効が成立すると当該請求権が消滅してしまいます。

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

養育費の支払の始期は一般的に請求時から

養育費が支払われるスタートのタイミングを養育費の支払の始期といいます。
養育費支払の始期は、公平の見地から請求時とするのが一般的です。

「権利者が請求の意思を明確にしたとき」にスタートし、例えば調停や審判の申立時が通常請求時だと判断されます。そして、それより前に請求していたことが立証できた場合は、そのタイミングが請求時となります。取り決めをするために父母間で話し合いを行っている期間でも、話し合い期間が請求時以前と判断されてしまうと、その期間の養育費を請求することができない可能性があります。

そのため、養育費を受け取っていない場合は、養育費をなるべく早く請求、もしくは調停の申立をして、養育費の支払の始期を確定させる必要があります。

養育費の始期を請求時より前とする例も有り

支払の始期を請求時より前とする裁判例もあります。
例として、離婚時からとされたケースや、子どもの監護が始まった時からとされたケースがあります。また認知が審判で確定した時からとされた例もあります。

一般的に養育費の支払の始期が請求時とされるのは、長い期間にわたって養育費の請求をしていなかった場合、請求以前に遡ると、その期間によっては義務者が一時に支払うべき金額が多額になり、義務者にとって酷だというのが、ひとつの考慮要素となっています。

そこで、請求以前に遡って請求を認めても義務者にとって過酷とはいえず、養育費の支払を免れることが著しく公平に反する場合には、請求以前に遡って請求を認めることが妥当と考えられます。

養育費には時効が存在する

原則、養育費請求権の時効は5年です。

契約書などによって養育費の取り決めをしていても、未払の養育費をそのままにしてしまっていると時効を迎えてしまい、請求権が消滅してしまいますので注意が必要です。

例外として、調停・審判などによって過去の養育費の未払い分について確定的に取り決めた場合、時効は10年になります。

ただし、「確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。(民法169条2項)」とされているため、いまだ発生していない将来分の養育費については調停調書などに記載したとしても、消滅時効は5年のままとなります。

養育費の時効を止める3つの方法

時効は権利が発生した時から進んでいきますが、時効の進行を止めることも可能です

養育費請求権を消滅時効にかからせないためには、時効の更新・完成猶予をする必要があります。
時効の更新ができれば、時効はその更新の時点から新たに進行を始め、完成猶予の場合は時効の完成がその期間中猶予されます。

時効の更新・完成猶予をするには以下に該当する事由を行います。

更新事由になるものの例


・裁判上の請求等(裁判上の請求、支払督促、調停等)が確定判決などにより権利が確定
・強制執行、担保権の実行等が終了
・債務(権利)の承認

完成猶予事由になるものの例と猶予期間


・裁判上の請求等(裁判上の請求、支払督促、調停等)/事由終了時まで
・強制執行、担保権の実行等/事由終了時まで
・仮差押え、仮処分/事由終了時から6ヶ月間
・催告/催告時から6ヶ月間
・協議を行う旨の合意/以下のいずれか早い時まで
(ⅰ)合意から1年
(ⅱ)合意で定めた協議期間の経過
(ⅲ)協議の続行拒絶通知から6ヶ月

協議を行う旨の合意を取り付けることも時効の完成猶予事由となりますが、こちらは改正民法で新たに設けられた制度ですので、協議を行う旨の合意が改正民法施行日(令和2年4月1日)より後である必要があります。

未払の養育費の請求について無料相談をお勧めします

未払の養育費を放置した際のデメリットについて解説しましたが、請求時がいつになるかなど、専門家でなければ判断が難しいところがあります。
法律の専門家である弁護士は強い味方になります。
また、養育費には時効もあるため、支払われるべき養育費を支払ってもらうには、早めに動き出すことが重要です。

養育費に関して、ご心配やご不安がある場合は、ぜひ一度ご相談されることをお勧めします。弁護士が無料相談を行なっていますので、どうかお一人で悩まずに、お気軽にご活用ください。
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