口頭予約は契約になる?トラブルを避けるための記録と証拠の残し方

電話や店頭での「口頭予約」。紙やアプリを使わない手軽さがある一方で、キャンセルやドタキャンが起きた際に「証拠が残らない」と頭を悩ませる店舗オーナーも少なくありません。 本記事では、口頭予約でも法的に契約が成立するのか?という観点から、トラブルを防ぐための記録の取り方、証拠の残し方について弁護士が解説します。
口頭予約でも契約は成立するのか?
契約は「当事者間の合意」があれば成立し、書面や署名が必須ではありません。つまり、口頭であっても「予約を受ける意思」と「利用する意思」が一致していれば契約は成立します。
例えば以下のようなやり取りがあれば、法的には契約が成立していると見なされることがあります。
- 利用者:「8月10日、19時に2名で予約できますか?」
- 店舗側:「はい、大丈夫です。お待ちしております」
このような会話だけでも、民法上は有効な契約として評価される可能性があります。
口頭予約の弱点は「証拠が残らない」こと
とはいえ、口頭予約には「言った・言わない」の水掛け論に発展しやすいリスクがあります。 特にドタキャン時にキャンセル料を請求する場合、「本当に予約が成立していたのか」を証明できなければ、請求が認められない恐れもあります。
口頭予約でも残せる証拠とは?
以下のような方法で「口頭予約の事実」を記録に残すことが可能です。
- 予約受付後にメモを残す:電話の日時、予約者名、人数、キャンセルポリシーの案内状況などを紙やシステムに記録
- 会話内容を要約してSMSやLINEで送る:「〇月〇日〇時、2名でのご予約を承りました。当日のキャンセルは〇%のキャンセル料が発生します」など
- 通話録音機能のあるスマートフォンや店舗電話を導入:なお、通話相手の同意を得ずに録音を行ったとしても、直ちに違法となるわけではありません(いわゆる「一方当事者による録音」は原則として合法とされています)。しかしながら、後日の紛争防止や個人情報保護の観点からは、「この通話はサービス向上のため録音させていただきます」等の文言を用いて、事前に録音を行う旨を相手方に告知しておくことが望ましい対応です。
いずれも、「予約が成立していたこと」「キャンセルポリシーを伝えていたこと」の証拠として有効になります。
キャンセル料の請求には「説明の記録」が不可欠
損害賠償としてのキャンセル料を請求するためには、キャンセル料の内容や条件を事前に相手に示していたかどうかがポイントになります。
電話口で説明した場合でも、「口頭で伝えた」という事実をメモに残しておくだけで、後日のトラブル対応で役立つことがあります。
トラブル時は弁護士へ相談を
無断キャンセルや不当なクレームなど、口頭予約にまつわるトラブルは予想以上に精神的・経済的負担となります。
『キャンセル料請求代行navi』では、口頭予約でのトラブルにも対応した弁護士による請求支援を行っています。 「このケースで請求できるのか?」「証拠として十分か?」など、お悩みの際はぜひご相談ください。