予約キャンセルに対する損害賠償 できる?できない?を弁護士が解説

近年、飲食店やサロン、ホテルなど予約制のビジネスにおいて「無断キャンセル(いわゆるドタキャン)」が増加し、事業者に大きな損害を与えるケースが少なくありません。
予約キャンセルが発生した場合、その損害をどう回収するか、また法的に損害賠償が認められるのかについて、弁護士が分かりやすく解説します。
予約キャンセルは「契約違反」にあたる?
そもそも、予約とは事業者と利用者との間で成立する契約です。
例えば、飲食店の予約では「席を確保すること」、ホテルの予約では「部屋を提供すること」が事業者側の義務となり、一方で利用者には「利用する」または「その代金を支払う」という義務が発生します。
予約を無断でキャンセルすることは、この契約を一方的に破棄する行為、つまり「契約違反」となる可能性があります。事業者側は、無断キャンセルによって損失を被った場合、一定の条件のもと損害賠償を請求する権利があるのです。
損害賠償が認められるためのポイント
損害賠償が認められるためには、以下の3つのポイントが重要です。
1. 事前にキャンセルポリシーを明示していること
飲食店やホテル、サロンがキャンセル料を請求するには、事前にキャンセルポリシーを明確に示しておく必要があります。例えば、
「当日のキャンセルは100%料金をいただきます。」
「キャンセルは3日前まで無料、それ以降は50%のキャンセル料をいただきます。」
このようにキャンセルに関するルールを事前に告知し、利用者がその内容に同意した上で予約が成立した場合、キャンセル料の請求は正当なものとなります。
2. 実際に損害が発生していること
損害賠償が認められるためには、無断キャンセルによって事業者側に「実際の損害」が発生していることを証明する必要があります。例えば、
- 飲食店で空席が出たために売上が減少した
- ホテルで部屋が空室となり、他の利用者を受け入れられなかった
- 美容サロンのスタッフが待機したにも関わらず、予約が無断キャンセルされた
このようなケースでは、損害の内容を示す具体的な証拠(予約履歴や売上記録など)が重要になります。
3. 損害額が合理的であること
事業者が請求する損害賠償額は、「合理的な範囲」である必要があります。
例えば、飲食店で2万円のコースを予約していた場合、無断キャンセルによる損害賠償額は原則としてその2万円が上限です。
それ以上の額を請求することは「過大な請求」として認められない可能性があります。
損害賠償が「できない」場合とは?
一方で、損害賠償が認められないケースも存在します。
- キャンセルポリシーが事前に告知されていない
- 事業者側に実際の損害が発生していない
- 利用者がやむを得ない事情(災害や事故など)でキャンセルした
例えば、事業者がキャンセル料について明示していなかった場合や、利用者が急病で来店できなかった場合は、損害賠償の請求が難しいこともあります。
損害賠償請求の具体的な方法
無断キャンセルによる損害賠償を請求する方法としては、以下のステップが考えられます。
1. 利用者に対し、キャンセル料の支払いを求める通知を行う
LINEやメール、郵送で具体的な金額と支払期限を通知します。
2. 専門家(弁護士)に相談する
事業者自身で請求しても支払いがない場合、弁護士を通じて内容証明郵便を送付し、法的手続きを進めることも可能です。
3. 法的措置を検討する
最終的には、少額訴訟や民事訴訟を利用して、裁判所を通じて損害賠償を求めることになります。
まとめ:キャンセル料の請求には準備が重要
予約キャンセルに対する損害賠償は、「契約違反」に基づいて請求が可能です。しかし、そのためには事前にキャンセルポリシーを明確にし、利用者に告知しておくことが必須です。また、実際の損害額を示す証拠が重要になるため、日々の業務で記録を残しておくことが大切です。
事業者としてキャンセルによる損失を最小限に抑え、本業に集中するためにも、法的な手続きを検討する場合は早めに弁護士へ相談することをおすすめします。
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