クレジットカード情報の事前取得は違法?キャンセル対策としての適法性とリスク

無断キャンセルや当日キャンセルの被害に悩む飲食店・美容室などの事業者にとって、「クレジットカード情報を予約時に取得できれば…」と考えたことがある方は多いのではないでしょうか。
実際、大手予約サイトではクレジットカードによる事前決済や保証機能が導入されていますが、個人店舗が独自にカード情報を取得することには法的なリスクが伴います。
本記事では、キャンセル対策としてのクレジットカード情報の取得の適法性と、実務上の注意点を弁護士の視点で解説します。
カード情報の取得が問題になる理由とは?
クレジットカード情報は、「個人情報保護法」および「割賦販売法(特定商取引法)」などによって厳しく規制されています。
特に以下のような取り扱いは違法または不適切と判断される可能性があります。
- 店舗スタッフがカード番号を電話やLINEで聞き取ってメモする
- 紙に書かせて保管する
- 決済処理のためでなく、キャンセル対策目的で保管する
こうした方法は、PCI DSS(カード業界の国際的なセキュリティ基準)にも違反する恐れがあり、情報漏洩時には損害賠償リスクを負う可能性があります。
合法的にカード情報を扱う方法とは?
もしキャンセル対策としてカード情報を取得したい場合は、「決済代行業者を通じた事前決済」という形が現実的です。
例えば:
- ホットペッパーやぐるなびなどの予約プラットフォーム経由でのオンライン決済
- STORES予約やSquare予約など、事前決済機能付き予約システムの導入
これらのサービスでは、店舗がカード情報そのものに触れずに、決済を保証する仕組みが構築されており、法的にも安全です。
キャンセル料を自動で引き落とすのはOK?
カード情報を保持していたとしても、顧客の明確な事前同意がなければ、勝手にキャンセル料を請求するのは原則NGです。
事前に「〇日前のキャンセルは100%のキャンセル料を自動決済します」といった同意を予約時に取得していれば、有効性が認められる余地はありますが、それでも事前決済システム側での処理が前提です。
自店舗で勝手に決済する行為は不正利用とみなされるリスクがあり、厳禁です。
事前決済型での運用とリスクバランス
実務上のポイントとして、すべての予約を事前決済とすることでキャンセルを抑止する効果がある一方、新規顧客が離れてしまうという課題もあります。
そのため、以下のような柔軟な対応が望まれます。
- 「繁忙期のみ」や「貸切・コース料理のみ」事前決済を導入
- 常連客や紹介者は従来通りの後払い制
弁護士としては、運用ルールを明文化し、顧客への事前説明を徹底することで、法的トラブルを避けることが重要です。
まとめ|カード情報を直接扱うのは避け、外部システムの活用を
キャンセル対策としてクレジットカード情報を取得・保管したいというニーズは理解できますが、法律・セキュリティ・風評の観点から見ても、リスクが高い方法です。
代わりに、外部の事前決済システムを導入し、適切な同意とキャンセルポリシーを整備することで、法的に安全かつ実効性のある対策が可能になります。
『キャンセル料請求代行navi』では、弁護士が事前決済の運用ルール設計やキャンセルポリシー整備をサポートし、トラブルを未然に防ぐ体制を整えています。