急な天候・災害時のキャンセルは請求できる?不可抗力とキャンセル料の扱い

大雨や台風、地震などの自然災害により、予約当日にやむを得ずキャンセルが発生した場合、事業者としてキャンセル料を請求できるのかどうか悩む方も多いのではないでしょうか。特に飲食店や宿泊業、イベント事業者にとっては、直前の無断キャンセルが経営に大きなダメージを与えることも少なくありません。
本記事では、「不可抗力」の概念と、それがキャンセル料請求にどのような影響を与えるのかをわかりやすく解説します。
1. 不可抗力とは何か?
法律上の「不可抗力」とは、当事者のいずれにも責任がなく、予見も回避もできない外的事情を指します。典型例としては、大規模な自然災害(台風・地震・大雪など)、交通機関の全面停止、政府の営業自粛命令などが該当します。
不可抗力が認められた場合、契約上の義務を果たせなかったとしても、相手方に責任を問うことはできず、キャンセル料の請求も難しくなるのが原則です。
2. 実務上は「事情に応じた判断」が必要
すべての天候不良や災害が自動的に不可抗力とされるわけではありません。以下のようなケースでは、請求の可否が異なる可能性があります。
- 台風が予報されていたが、当日は公共交通機関が通常運行していた
- 豪雨があったが、店舗周辺や顧客の地域に被害はなかった
- 予約時間の前後に外出可能だったが、顧客の判断でキャンセルした
このようなケースでは、不可抗力とは評価されず、キャンセル料の請求が認められる可能性があります。
3. 「不可抗力条項」の記載がトラブルを防ぐ
キャンセルポリシーには、以下のように不可抗力と判断される具体的事由を列挙しておくとトラブルを防止できます。
(例)
以下のいずれかの事由に該当する場合には、キャンセル料を免除するものとします。
1. 気象庁が発令する台風警報、大雨警報、洪水警報、暴風警報、警報級の地震情報のいずれかが、お客様の居住地または当店所在地を含む地域に発令された場合
2. 自治体が避難指示(警戒レベル3以上)または避難勧告を発令した場合
3. 政府又は地方公共団体による緊急事態宣言、施設営業自粛要請等が発令された場合
上記に加え、「荒天の場合でも、上の事由に該当しない場合には、原則キャンセル料を頂戴します」といった内容を事前に明示しておくことも有効です。SNSや予約画面での告知も法的主張の補強となります。
4. 請求判断には「事実の整理」と「丁寧な通知」を
実際にキャンセルが起きた際は、気象庁の情報や公共交通機関の運行状況、自治体の避難情報などを確認し、不可抗力に該当するかを冷静に判断しましょう。
請求する場合は、SMSなどで穏やかな文面を使い、事前のキャンセルポリシーに基づいた請求であることを丁寧に説明することがトラブル防止の鍵です。
まとめ
天候や災害によるキャンセルが全て不可抗力になるわけではありません。状況に応じて適切な判断を行い、明確なポリシーと丁寧な対応を心がけることで、法的にも認められる請求が可能になります。
『キャンセル料請求代行navi』では、こうしたケースにおいても、弁護士がSMSを通じた穏やかな請求対応を代行いたします。まずはお気軽にご相談ください。